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1986年4月 機関誌「音響」43号 

 

Interview

広範な個人のつながりが生み出すもの

~JAST10年の歩みを振り返って~ 

 

日本音響家協会会長 若林 駿介 

  

 

広範な人々に支えられた活動 

 

──JASTはいよいよ10周年を迎えることになりますが、少し振り返ってお話ししてみたいと思います。 

 

若林:10年前の2月1日めでたく「日本音響家協会」という名称で設立したわけですけど、その前は「舞台音響技術向上会」ということで活動をしていたんですね。音響関係の協会がいろんなところで出来はじめた時代でしたが、この「音響家協会」というのは最後にできた協会でしたね。 

 

──当初からいろんなジャンルの人が集まる団体としての音響家協会というのが望ましいと考えておりました。中部支部の田嶋副会長も発起人の一人ですけど、そういうことに非常に熱心でした。いろいろ検討した結果、音響会社の経営者が会長になるのは運営上うまくいかないだろうということで、若林さんにやっていただこうと思って電話いたしましたが、快く引き受けていただいて感謝いたしております。 

 

若林:たとえばメーカーの集まりや業者の団体の会長には、僕はなれません。それはどこかの会社の社長がなればいいんですよ。だけど皆さんが非常に熱心にまとめてこられたのをいろいろお聞きしていましたし、実際に話してみて納得し、さらに個人単位の組織であるということもあって引き受けたわけです。機器を作っている人から売る人、使う人、演ずる人、あらゆる範囲の音響に携っているプロが、幅広く集まろうということで、これは意義があるんじゃないかと思いましてね。本当にいろいろなジャンルの音響家の、個人である立場の集まりということならば僕も資格のうえで会長という役になれるかなあと思いました。 

 

──それが今の、音響家協会の最大の特徴なんですね。それにもうひとつ、協会としては、賛助会員はやめようということになったのです。 

 

若林:そうそう、賛助会員として各企業から寄附のような会費をいただくような方法、そういう形をとっているところもあるけれど、そうすると、どうしても企業色が強くなるし、活動が制約されるんじゃないかということでね、お金は十分ではないかもしれないけど、そこは工夫をすれば良いということでやめたんでしたね。 

 

──かえってお金がないというのが、協会としてよかったような気がしますね。 

 

若林:会社の集まりでもないし、営利事業をやろうという団体ではないのだから、お金があることが協会のメリットにはならないわけです。 

 

──会員の数にしても、数だけ追っていこうというのは極力やめたしね。そこは協力とか工夫とかで頑張ってきました。 

 

若林:そうなんです。無理に人を増やしてもね。それより本当に勉強し、親睦をはかり、プロとしやっていこうと考えている人が集まってくれればいいんです。営利事業をやりたいからお金がいる、だからどうしても人数を増やさなくてはいけない。それで人を増やすことが先行してしまう、そういう団体には、したくなかった。 

 

──そのことは10年間、まがりなりにも貫けた気がします。 

 

若林:そういう信念を持ってスタ一卜したのでよかったです。そこを曖昧にしてしまうと、会費を値上げしようとか、事業やって儲けようかということになり、そっちが主活動になっていってしまう。 

 

 

好意的に迎えてくれたマスコミ 

 

──正直言ってお金が欲しいときありましたが、会長になだめられたこともありました。(笑) スタートしたときマスコミも取上げてくれました。 

 

若林:そうね、非常に関心を持ってくれましたね。私も、朝日新聞の「ひと」という欄に初代会長というタイトルで載りました。これは音響界史上初めてでしょう。また、朝日ジャーナルが非常にいいこと書いてくれたんですよね。世の中にはアドバルーンを高く掲げて設立する協会は多いが、そのまま落ちてくるのが通例である。ここに「日本音響家協会」というのがあるが、地道に一歩ずつ歩んでいく将来性のある協会であるという書き方をしてくれました。

──最初の会報はリコピーでした。 

 

若林:今みたいにコピーマシンが良くなかったから、見にくいものでした。 

 

──やっと普通の印刷になって、それでもホチキスでとめてあって、徐々に本らしい本ができるようになって、紙の質もあげて、そのあたりから広告がもらえるようになりました。冒険でしたね、紙を良くして印刷の仕上がりを良くすれば広告がとれるんじゃないかと。 

 

若林:内容も時代の先取りをしてきましたね。 

 

──10年前に外国の文献ですがヒアリングダメージ(大音響による聴覚障害)を取り上げています。7年くらい前にはフライングスピーカが載っています。海外の情報ですが。 

 

若林:PZMもそうだし、SRという言葉もここまで普及させてしまったね。「音響誌」はこの10年の足跡を如実に物語っているんじゃないですか。 

 

──年4回は必ず出版しました。 

 

 

奉仕ではなく参加し、共同作業する中で得られるものこそ貴重だ 

 

若林:これはやっぱり大変なことですね。 

 

──合併号とか休刊っていうのは一度もなかったです。現在は鈴木伸一さんがやってくれているけど、単なるボランティアではなくて、その中から得られるものは必ずありますね。 

 

若林:運営委員や編集委員は本当に大変な仕事ですが、これは単なるボランティアというものではないでしょう。ボランティアっていうのは奉仕でしょ、奉仕はしていただきたくない。やっぱりそれによって自分が得るものは必ずあるだろうし、志をひとつにした人たちが共同作業するっていう機会はなかなかないですよ。会社の社員同志じゃあ別のものが作用しちゃうし。勉強したい、良い音にしたい、というのは報酬とは関係なく非常に尊いものだし、だから身につくし。そういう精神のもとにこの協会はあるんじゃないかと思うなあ。 

 

──レコード関係の人と、劇場関係の人とメー力一さんとかが実験会などで一緒に、いつもやったことないようなことだから失敗しながらやっていますけどね。しかし、こんなことからも得るものが大きい。 

 

若林:大体、音響家っていうのは視野が狭くなりがちですね。自分の専門のことが中心で、専門外のことに対しては敬遠してしまう。だけど、もっと視野を広げないといけません。 

 

──その意味でも、わらじを作る人とそれをはく人が一緒の協会に入っているってことが、良い成果を生むことになってくると思いますね。 

 

若林:とかく企業にいると行動が限られちゃうけどね、協会でいろんな人たちと幅広く接することができる。そういう面でもっと協会を利用してほしい。そのために会費も払っているんでしょう。 

 

 

広範な個人の集まる場としてのJAST

 

──10年間でいろいろな事業をしてきましたけど、レコードも作リました。 

 

若林:「析の芸術」ね。ソニーのデジタルレコ一ドの第一号でした。アナログで編集してカッティングの段階になっていたのですが、CBSソニーの信濃町のスタジオが完成して、評論家たちに聴いてもらったらデジタルのほうが良いという意見が非常に多かったので、急遽デジタルに切り換えたんですね。二度と作れないレコ一ドだと思いますね。大変意義のある遺産ですね。 

 

──そうですね。国立劇場も協力してくれましてね。安い使用料で大劇場を貸していただいたし、出演者も快く安いギャラで出てくれたし、本当に大勢の人にお世話になったんですが、後世に残る大事業だと思います。 

 

若林:まあ、10年間にはいろいろな人たちにお世話になっています。そして今はあれがCDになって、また素晴らしいデジタルの効果をあげていますね。 

 

──これでやっと永久保存ですね。録音はおもしろかったですね。デジタルで録音しながらも三味線はリボンマイクで録っているんですよね。古い44BXも使って。そういう三味線の音ももうこれからはないですね。そういう意味で新旧両方の技術をミックスしたレコードなんですね。 

 

若林:協会としての音の実績ですね。 

 

──その後、中部支部では「美濃の祭囃子」のレコードを作ったんですよね。 

 

若林:ビデオもね。それで表彰を受けて、わざわざ表彰式に美濃市まで行きました。あれもJASTの実績です。 

 

 

技能検定の問題で再認識した協会の立場 

 

──技能検定(労働省)の問題でもいろいろありましたが。 

 

若林:あれは我々も準備期間から参加して、どういう形にしたらいいかとか、テストケースでいろいろやってみたりして一緒に協力しましたが、施行する段になって、ちょっと我々の協会の意思と違うので、残念ながら辞退したのだけれど、もっと純粋に技能ってものを検定する制度であってほしいという疑問がちょっとありました。 

 

──本当にあの時代は胃が痛くなりましたね。結局、文化庁の指導もありまして照明家協会とともに辞退しました。 

 

若林:我々の協会の性格があれで非常にはっきりしたし、あのあたりできちんと決めないといけなかった。あれで個人会員の組織であるということも、事業者の団体ではないということも明確になりました。運営費を何で維持するかとか、これは協会として当たり前なことかもしれないけど、会則もさらに明確になりました。 

 

──このとき新たに会則を刷って配布したりしましたね。 

 

若林:僕も改めて会則を読んでみて、ある意味で安堵しました。 

 

──ある意味で、我々のためになった出来事だったんですね。今、思えば率直に意見を述べられた時期でした、あの頃は。 

 

若林:ああいう機会に皆が言いたいことを言って、結局、目標はひとつであったということが確認できたしね。この協会は存続すべき理由が、きちんとあるんだということを僕は再認識したなあ。 

 

 

音圧第一主義への警鐘 

 

──5周年記念もやりましたね。ライブハウスでジャズの生の音を聴こうという会や、音楽家ユニオンと俳優座劇場で「ノンPAコンサ—卜」をやりました。 

 

若林:あれもひとつのエポックですね。あの頃はロックコンサートなんかで音圧第一主義のピークじゃなかったかな。本当のリアルジャズなんかまでが、音量、音量で演奏家も評論家もうんざりしていましたね。我々も協会として、なんとかしなきゃいけないという気持ちがあったんで、お互いに目標が一致して、ノンPAコンサ一卜をやろうということでやったんですね。 

 

──我々は、いつもはうるさいこと言わないけれども、大事なときには音響家協会として物申すという態度が常に必要ですね。じゃないと、会員の生活を守れないですからね。 

 

若林:やっぱり正しいことは主張すべきだし、個人じゃできなくても、協会としては個人の会員の総意としてできますからね。やるべきことでしょう。 

 

 

同窓会は御免、常に若い人たちの活力を取り入れたい 

 

──10年を振り返ってみると新しい流れができました。 

 

若林:こういう協会っていうのはいつの間にか年をとっちゃうんですね。だから若い人にどんどん入って来てもらいたいし、積極的に運営にも参加してほしいと思います。古い人たちがなんとなく集まって同窓会みたいになるのが一番よくない。そうなったら、若い人は入りにくいですよ。古い人たちの会じゃないし、若い人たちがどんどんアイディアを出しあって、フレッシュにしていかなくちゃいけない。 

 

──これからは幅広く、若いエネルギーとベテランのエネルギーとをミックスしていかなければならないと思います。 

 

若林:バランスよく、若い人に思う存分やってもらって、ベテランは目標から外れていかないように見守っていれば良いだろうし、そんなふうに運営していければ理想的だと思います。

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