日本音響家協会賞は、音響芸術家と音響技術者を対象として創設されたもので、音響の分野において独創的・飛躍的な成果をあげ音響分野の進歩に大きく寄与し、それによって音響家の繁栄に著しく貢献したひとに贈られます。
この賞は、原則として個人を対象とし、毎年贈られます。受賞者には賞牌と記念品を授与します。贈賞式は、毎年5月に開催される日本音響家協会定時総会で行います。
2022年受賞者
持丸 聡(もちまる あきら)
●受賞理由
日本音響家協会のさまざまなセミナーの企画や講師を担当し、日本における音響家の技能向上に寄与し、その内容は次の世代に引き継がれていて、持丸氏からは協会の設立趣旨に沿った会員へのご指導をいただいている。
今後におかれましても、さらなるご支援を期待できると共に、これまでの実績に感謝を込めて協会賞を贈ります。
●経歴
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1983年:日本大学理工学部建築学科卒業。
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1983年:不二音株式会社(現ヤマハサウンドシステム)に入社。
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1988年:MarkIVオーディオグループのAltecLansingに入社。
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1993年:シニアリサーチエンジニアとしてボーズコーポレーションに入社。
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1998年:ボーズ株式会社に入社。
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2006年:ボーズ本社のプロフェッショナルシステム部門のゼネラルマネージャに就任。
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2020年8月:ボーズ社を退職。現在はイタリアのPowersoft社のマネージメントに参画。
●功績(日本音響家協会関連)
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2002年:東京・府中グリーンプラザにて開催のチューナ技能講習会の講師を務める。
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2003年:音響家技能認定講座・サウンドシステムチューナコースⓇを増旭氏と協働で立ち上げる。
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2004年:吹田市文化会館にて開催のサウンドシステムチューナコースの講師を担当。
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2005年:東京芸術劇場中会議室にて開催のサウンドシステムチューナコースの講師を担当。
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2006年:芸能花伝舎と吹田市文化会館にて開催のサウンドシステムチューナコースの講師を担当。
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この他、日本音響家協会発行のテキストの技術監修をはじめ、2018年にはRX JAPAN株式会社と日本音響家協会共催による幕張メッセにおけるライブ・エンターテイメントEXPOの技術セミナーにて、スピーカシステムの設計概念の講義を行っている。
●特記事項
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現在は東京に在住しており、日本音響家協会の教科書作成の技術的アドバイス等を支援していており、積極的に的確な指導をいただき、今後の協会員の技能向上の支援に期待できます。
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一般社団法人日本音響家協会会友
2021年受賞者
松本 泰(まつもと やすし)
●受賞理由
音響機器設計・音響設備設置・仮設音響の現場体験を活かして、商用電源の正しい使用法やトラブルの解決法など、具体的な手法を構築して、所属社内だけでなく広く本協会等にて「音塾」としてワークショップを開催してきた。
松本氏の実演を交えた解説は高評で、多くの音響家のスキルアップに繋がっている。
今後は、電気音響機器にとって最も重要であるAC電源の正しい知識を後進に伝えていただくことを望むと共に、これまでの功績を讃えて日本音響家協会賞を贈ります。
●経歴
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1959年 兵庫県神戸市生まれ
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1982年 東亜特殊電機株式会社(現 TOA株式会社)入社
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2007年 高知工科大学大学院博士後期課程単位取得満了
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現在、TOA株式会社
エンジニアリング部 技監
●功績
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1982年 東亜特殊電機入社 サウンド機器開発担当
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1983年 音響機器レンタル部門サウンドポケット 技術担当
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1985年 神戸ユニバーシアード神戸大会 音響担当
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1990年 Z-DRIVE販売 開発担当
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1990年 ウイーン国立劇場納入のデジタル音響調整卓 iX-9000 調整担当
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1990年 FFT音響計測システム開発導入
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1991年 世界陸上大会 音響担当
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2010年 音響教育、匠伝承プログラム『音塾®』企画構築 初代塾長
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2011年 防災用ホーンアレーシステム実証実験、エンジニアリング担当
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2011年 第一回神戸マラソン大会 音響担当
●講師歴
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2011年2月 西日本支部主催の音塾の講師
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2011年5月 北陸支部主催の音塾の講師
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2012年10月 西日本支部主催の音塾part2の講師
●特記事項
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日本音響学会 正会員
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映像情報メディア学会 正会員
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日本防災機構 防災士
2020年受賞者
新谷美樹夫(しんたに みきお)
新谷氏のジャズへの積極的な取り組みは、横濱ジャズプロムナード、東京ジャズ、岡崎ジャズストリート、今治ジャズタウンなど国内のジャズフェスティバルなどへ参加、また海外においてはニューヨークやバッファロー等での演奏活動で明らかです。
それらの経験をもとに、金沢市に「ジュニアジャズオーケストラ(小・中・高校生)」を設立し、音楽の啓発育成活動を推進するとともにベルギーやスペイン等、海外のジャズバンドとの国際交流も深めています。
また、地域の音楽イベント「金沢ジャズストリート」を立ち上げ、現在はプロデュース担当をされています。
常に新たな音楽と音響の創造に情熱を傾けていて、音楽の魅力を若者へ伝えていく姿勢は高く評価されており、多大な功績を重ねて来ました。これらを称えて日本音響家協会賞を贈ります。
●経歴
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2004年 金沢市民芸術村ミュージック工房 ディレクターに就任
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2005年 ジュニア・ジャズ・オーケストラJAZZ-21 代表
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2009年 金沢ジャズストリート プロデューサー
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2010年 金沢ジャズ連盟 副代表
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2013年 金沢フラメンコ祭り実行委員会 副代表
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2013年 L.F.I株式会社 代表取締役
●功績
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1994&1996年 パーカッショニスト“小幡亨”のドイツツアー(ボン・ベルリン・ハイデルベルグ・ライプチヒ等)にエンジニアとして参加
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2000年 杉原千畝生誕100年記念事業「カウントベイシー・オーケストラ6000人の命」のビザ・ジャズコンサート」(大阪国際会議場)の音響担当
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2002年 「ディークエリントン・オーケストラ・コンサート」(金沢市観光会館)の音響制作担当
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2004年 「ジュリアード・ジャズ・オーケストラ」(石川県立音楽堂)の音響制作を担当、同年に「ジュニア・ジャズ・オーケストラJAZZ-21プロジェクト」を立ち上げる
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2012年 アメリカ・ニューヨーク、バッファロー市に「JAZZ-21」とともに遠征
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2013年 中西保志&オーケストラ・アンサンブル金沢 バレンタインコンサート
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2014年 ベルギー・ゲント市へ遠征し、「JAZZ-21」とともにインターナショナル・ジャズ・ディ「TUNES」に参加
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2017年 「JAZZ-21」ニューヨークJAZZ
STANDARDに出演69およびニュースクール大学と交流
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2020年 オーケストラアンサンブル金沢によるジャズ作曲家・狭間美帆作曲の「南坊の誓い」の初演をライブレコーディング担当
2019年受賞者
大津 直規(おおつ なおき)
大津氏は長年に亘り、コンサートホールやレコーディングスタジオ等でピアノ調律師として第一線で活躍されると共に、後進の育成に尽力されてきました。
私たち音響家にとってもピアノは身近な存在であり、関わることが多い楽器です。
しかしながらメカニズムが複雑で、楽器技術者に頼らなければ楽器本来の性能を引き出すことはできません。楽器技術者の役割はアーティストが彩りを創るために、楽器をフラットな特性に整えることであって、これは、サウンドシステムチューナの役割に通じるものがあり、より良い音を聴衆に届けることを使命とする音響家にとっても、必要不可欠な存在です。
先人の築いた調律理論を自身の経験を通じて常に探求し、正しいことを正しく伝えるということに情熱を持って取り組んでこられた大津氏の功績は高く評価されており、音楽の創造に多大な功績を重ねて来られています。これらを称えて日本音響家協会賞を贈ります。
●経歴
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1975年3月 国立音楽大学別科調律専修修了
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1974年度 国立音楽大学 野村賞(第1回)受賞
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1975年4月より 三新ピアノ調律所(港区新橋・当時)に入職し、修理の研修とレコーディングスタジオ、ホールでの調律に従事。
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1976年4月より ピアノ調律会社、専門店などに調律師として従事。修理全般についても多数手がける。
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1999年4月より国立音楽大学非常勤講師(調律実習)。
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2004年4月より国立音楽大学専任講師(調律実習)、2006年4月より別科主任
●著書
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生きる力を育むわらべうた エイデル研究所2001年8月
(共著)
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第10章 楽器から音楽・音楽教育を考える (p.141〜165 )
●学術論文
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割り振りの実際とInharmonicity の関係 国立音楽大学研究紀要第36集2002年3月
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実験用48鍵ピアノの製作と解析(1)-設計および製作に関する報告-
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日本音響学会音楽音響研究会資料vol.24 No.8 2006年3月
●研究テーマ
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Inharmonicity の影響による基礎音階の実際についての考察を、ピアノ全体(88鍵)まで展開するとともに、特に響板の面積に起因するピアノの機種の違いによる調律の差について
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各種の調律支援ソフトやチューナーの使用についての問題点
2017年受賞者
内藤 博司(ないとう ひろし)
演劇の音響効果一筋に歌舞伎から新派、ミュージカルに至るまで、さまざまなジャンルで演目に最も相応しい音響効果を作り上げてこられ、作品や俳優の機微を音で表現し、魅力を最大限に引き出す優れたプランナーであると共に、後継者の育成にも注力され、この大きな功績を讃えて日本音響家 協会賞を贈ります。
●経歴
- 1957年 北海道生まれ
- 1977年 株式会社ショウビズスタジオ(現:松竹ショウビズスタジオ株式会社)入社、現在に至る。
●功績 (最近の参加作品)
- 2012年12月 日生劇場 齋藤雅文演出新派「日本橋」
- 2014年12月 歌舞伎座 坂東玉三郎演出・出演「幻武蔵」
- 2015年03月 新橋演舞場 藤山直美主演・スーパー喜劇「かぐや姫」
- 2015年04月 東京芸術劇場 マキノノゾミ演出・グループる・ばる「蜜柑とユウウツ~ 茨木のり子 聞~」
- 2015年08月 ラスベガスMGMグランド 市川染五郎演「鯉つかみ」
- 2015年11月 世田谷パブリック マキノノゾミ演出・現代能楽集「道玄坂綺譚」
- 2016年04月 歌舞伎座 市川染五郎・尾上松也主演「幻想神空海」
- 2016年05月 ラスベガスMGMグランド 市川染五郎主演「獅子王」
- 2016年05月 明治座 G2演出「御宿かわせみ」
- 2016年11月 新国立劇場「HE FLIC」マキノノゾミ演出
- 2016年11月 新橋演舞場 大竹しのぶ主演「三婆」
- 2016年11月 新橋演舞場 舟木一夫主演「どうせ散るなら」
- 2016年12月 歌舞伎座 市川中車主演「吹雪峠」
- 2017年01月 歌舞伎座 松本幸四郎・坂東玉三郎主演「井伊大老」
- 2017年05月 国立代々木競技場にて市川染五郎の氷艶「破沙羅」
- 2017年05月 地方公演 坂東玉三郎演出「幽玄」
- 2017年06月 三越劇場 花形新派公演「黒蜥蜴」
2016年受賞者
佐倉 住嘉(さくら すみよし)
佐倉氏はDr.ボーズと共に日本法人を設立。1979年に発表された802スピーカは音響業界にポータブルSRに革命を起こし現在に至ります。
また、佐倉氏の発想により開発されたベストセラー101型小型スピーカや、業務に不可欠な各種吊り金具などのオプション整備は、業務音響環境を一変させました。
起業家としてだけではなく、先駆者として音響業界に多大な改革をもたらした功績は、業界枠を超え計り知れません。これらの功績を称えて協会賞を授与いたします。
●経歴
- 1936年9月1日 東京都千代田区神田に出生
- 1955年4月 東京外国語大学入学(スペイン学科)
- 1959年3月 同校卒業
●職歴
- 1959年4月 東和通商株式会社(中南米向け雑貨及びプラントの輸出商社)
- 1959年5月 メキシコ駐在1年間
- 1970年4月 サムサンコーポレーション創業 代表取締役就任
- 1971年4月 スタンダード工業株式会社 取締役就任
- 1971年7月 米国スーパースコープ社 取締役就任日本マランツ株式会社の親会社)
- 1971年11月 東京SEC株式会社代表取締役就任
- 1972年3月 赤坂で中華・サンマタルを開業
- 1977年4月 英研株式会社設立 会長就任(英語塾を家庭の主婦が開設するノウハウを供給する会社)
- 1978年8月 米国法人ボーズ・アジアリミテッド代表取締役就任(ボーズ製品の輸入販売会社)
- 1984年5月 ボーズ株式会社に改組 代表取締役就任
- 1989年11月 「ジャパニーズ・イングリッシュの逆襲」をファンハウスより上梓
- 1991年2月 米国ボーズ・コーポレーション 副社長就任
- 1998年6月 「サラリーマンのための英語出世塾」を小学館より上梓
- 2008年4月 ボーズ株式会社 名誉顧問就任
- 2008年5月 「修羅場のビジネス突破力」を小学館より上梓
- 2009年6月 「ご挨拶」を文藝春秋より上梓
- 2010年1月 株式会社カタログハウス 代表取締役就任
- 2013年4月 株式会社カタログハウス 相談役就任
- 2014年4月 株式会社カタログハウス 代表取締役就任
- 2015年4月 株式会社カタログハウス 相談役就任
2015年受賞者
佐々木 英世(ささき ひでよ)
映画における音響効果の第一人者として、様々な作品を担当されておられます。
効果音、音楽、台詞、そして作品の演出意図とのバランスを第一とするスタンスで音響家の手本となり、効果音による「化粧」を施す匠の技は作品に一層の輝きを加え、多くの人々に感動を与えました。
また作品を左右するほどの影響力がある「音響効果」「効果音」の有用性と魅力を一般にアピールするとともに人材の育成にも尽力され、文化芸術の発展に寄与されました。この功績を讚え日本音響家協会賞を贈ります。
●経歴
- 1940年北海道根室町(現、根室市)生まれ。音響効果技師。「東洋音響」代表取締役社長。
●功績
- 1994年「ゴジラVSデストロイア」で日本アカデミー賞特殊技能賞を受賞。
- 2009年「剣岳 点の記」(木村大作監督)
- 2012年 高倉健主演「あなたへ」、吉永小百合主演「北のカナリアたち」
- 2012年 文化庁映画賞の映画功労部門を受賞。
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2014年 松山ケンイチ主演「春を背負って」(木村大作監督)
2014年受賞者
浅原 勇治(あさはら ゆうじ)
日本の伝統的な邦楽のSRまで過大音響でなければならない風潮の関西の地において、及川公生氏などによる教示の下、高砂高校ジャズバンド部のチャリテー公演を長年支援して多くを学ぶことでジャズの本質をわきまえ、ひたすら生音(出音)を大切にし、その自然で心地よい音に仕上げる音響デザインは高く評価されています。この功績を讚え日本音響家協会賞を贈ります。
●経歴
- 1965年、京都生まれ。
- 1990年から有限会社ユーズグループに所属し、歌謡曲のコンサートやラジオ放送業務に携わる。
- 1999年からフリーランスに転向、現在、ジャズを主に関西で活動。著名なジャズミュージシャンや関西ジャズ協会などのコンサート等の音響を担当、年間30~50のビッグバンドのコンサートもこなす。
- 最近はゴスペルシンガー・市岡裕子のコンサートをはじめ、教会のクワイヤの音響も担当している。
- 関西ジャズ協会会員、神戸ジャズシティ委員会会員、ベイフェスタ実行委員会会員、NPO法人元町オアシス理事
●功績
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海外プレイヤ エディヒギンズ Trio、マリーナショー(ライブハウスツアー)
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国内プレイヤ 小曽根 実、宮本直介、大塚善章、北野タダオ、小曽根 真、秋満義孝、山下洋輔、原田イサム、古谷充、河田健、北村英治、鈴木直樹、鍋島直昶、伊藤君子、黒岩静江
- 2003年 日中交流ジャズ友好団(小曽根実オクテッド)、広州コンサート、桂林コンサート
- 2003~2013年 NABL(西日本アマチュアビッグバンド連絡会 定例コンサート)
- 2010年 上海万博・神戸Day(小曽根実セクステッド)・ジャズコンサート(日本館)
- 1997年~ モザイクジャズフェスティバル(小曽根実氏 主催)
- 2003年~ 関西学院大学OB/OG震災チャリティジャズコンサート、高砂高校ジャズバンド部定例チャリティコンサート
- 2004年~2005年 Mt Rokko Jazz Festival
- 2001年~ 関西ジャズ協会 主催定例コンサート
- 2005年~ 西宮ジャズ3Days ジャズコンサート
- 2011年~ Swing Jazz Cruse (関西の大学生が企画したジャズイベント)
2013年受賞者
特別賞
本 輝夫(もと てるお)
本輝夫氏は、舞台技術者の連携や技術力アップの重要性を早くから認識され、積極的に舞台関係者と集い、わかりやすく優しく、時には厳しく指導されてきました。
活動は金沢市に留まらず、広い見地から北陸全体のネットワークを目指し、当協会の北陸ブロックの設立に尽力されました。2000年には「小音響かわらばん」を創始され、そのことで北陸の文化施設の活動やスタッフの顔の見えるネットワークを構築されました。
これらの長年にわたる活動は、舞台技術者の後継者育成やスタッフの技術力向上と、音響文化の創造において多大な影響を与えてこられました。
ここに功績を讚え、日本音響家協会賞特別賞を贈ります。
●経歴
- 1956年 金沢大映劇場
- 1962年 金沢市観光会館
- 1998年 石川県教育会館
- 2003年 日本音響家協会理事に就任
- 2012年 日本音響家協会理事を退任
●主な功績
- 協会設立当時より当協会の活動と発展に寄与した。
- 2000年 北日本ブロックの設立に尽力する。
- 機関紙「小音響かわらばん」創始する。
- 氏の人柄と活動により、協会への信用が向上し会員が増加、2006年北陸支部の設立となる。
- 後継者育成のためのセミナーを毎年3回開催するなどして、その後の支部活動の基礎を築いた。
2012年受賞者
豊田 泰久(とよた やすひさ)
音響の基本となる音響空間の創造において、音響界へ広く影響を与えてこられました。作品となる多数の国内コンサートホール設計の成果は、海外の音楽ホール設計においても高い好評を得て、音響・音楽の世界に幅広く貢献されています。ここに業績を讚え、日本音響家協会賞を贈ります。
●経歴
- 1952年 広島県 生まれ。
- 九州芸術工科大学 音響設計学科
- 永田音響設計 現地法人 Nagata Acoustics America, Inc. 代表としてロサンゼルス、パリを拠点として活動。
●功績(年代別・主な物)作品 等)
- 福島市音楽堂(1984年)、サントリーホール(1986年)
- 北九州響ホール(1993年)、福山リーデンローズ(1994年)
- 長岡リリックコンサートホール(1994年)、京都コンサートホール(1995年)
- 札幌コンサートホール(1997年)、千葉ぱるるコンサートホール(2000年)
- Bard College Performing Arts Center(ニューヨーク/アメリカ)(2003年)
- Walt Disney Concert Hall(ロサンゼルス/アメリカ)(2003年)
- Mariinsky Theatre Concert Hall (サンクトペテルブルグ/ロシア)(2006年)
- Shenzhen Cultural Center Concert Hall(シンセン/中国)(2007年)
- Danish Radio Concert Hall (コペンハーゲン/デンマーク)(2009年)
- New World Symphony(マイアミ/アメリカ)(2011年)
- Helsinki Music Centre(ヘルシンキ/フィンランド)(2011年)
- Kauffman Center Performing Arts Center(カンザス・シティ/アメリカ)(2011年)他
現在進行中(2012年現在)
- Elbphilharmonie(ハンブルグ/ドイツ)
- Radio France Concert Hall(パリ/フランス)
- Philharmonie de Paris(パリ/フランス)
- Katowice Concert Hall(カトヴィツェ/ポーランド)
- Shanghai Symphony Concert Hall(上海/中国)
- Lotte Concert Hall(ソウル/韓国)
- Simon Bolivar Cultural Complex(カラカス/ベネズエラ)等のプロジェクトを担当。
●特記事項
2004年8月、Art Center College of Design (カリフォルニア/アメリカ)、および Bard College (ニューヨーク/アメリカ) の2大学より名誉博士号を授与されました。
2010年受賞者
犬塚 裕道(いぬづか ひろみち)
演劇や舞踊に精通した多彩な仕事ぶりは邦楽界で定評があり、名古屋地区では絶大の信頼を得ています。そのことは単に技術的なことだけでなく、人間的な素晴しさと仕事に対する哲学によるものです。
また、蓄えた豊富な知識とノウハウを惜しみなく次世代に伝授し、後進の育成と技能伝承にも尽力されており、日本音響家協会賞授賞に値します。
●経歴
- 1959年 愛知県幡豆郡吉良町生れ
- 1983年 東洋大学卒、大学の劇団で演出、音響、戯曲等を担当。その後、学生演劇、大衆演劇、児童劇、イベント会社などを経験
- 1986年 若尾綜合舞台入社。塚本 巌氏の下、邦楽の音響に携わり、邦楽の音響家として演奏会、舞台公演、録音、セミナーの講師等を務め、中部地区を中心に邦楽の実演家に絶大な信頼を得る
- 2001年 文化庁芸術家在外研修員特別派遣員としてニューヨークにて、ブロードウェイミュージカルを研修
- 2004年 日本音響家協会中部支部主催「邦楽セミナー」の常任講師として第1回から務める。
- 2007年 ステージヴァンガードを設立し独立、現在に至る。
(1992年より本名を高橋裕道に)
●主な作品と公演
録音 CD
- Emotional AWA 「LA TOUR VIOLETTE」(1994)
- Emotional AWA 「MARION CHANTE」 (1995)
- Emotional AWA 「DANS UN AQUARIUM」(1995)
- Emotional AWA 「Chara.-Comm.→」 (1995)
- 西川流舞踊CD 「小鍛治」「二人椀久」「連獅子」「紅葉狩」 (1999)
- 飛騨正絃社CD (2000)
- 東海かおり 箏曲「雪月花」(2005)
- 野村祐子 「野村祐子 箏・三絃コンサート」(2008)
- Hozan Quartette 「尺八七変化」 (2008)
舞台上演用CD
- 地唄「昔噺」=西川流 鯉女会= (1999)
- 地唄「おらが春」=西川流 長寿乃会= (2002)
- 地唄「良寛さんの歌草紙」 (2010)
音響プラン/効果音製作/操作
- 人形劇団むすび座「悟空誕生」 (1988)
- 人形劇団むすび座「西遊記」 (1991)
- 人形劇団むすび座「名古屋心中」 (1992)
- 人形劇団むすび座「石の馬」 (1996)
- 現代舞踊協会中部支部40周年記念講演(1997)
- 人形劇団むすび座「悟空誕生」 (2000)
- 西川流名古屋をどり効果音の製作(2002~)
- 三代真史Jazz舞踊団 イタリアツアー (2003)
- 人形劇団むすび座「西遊記 天竺への道」(2004)
- 三代真史Jazz舞踊団 ヨーロッパツアー (2004)
- 人形劇団むすび座 北京公演「悟空誕生」 (2005)
- 人形劇団むすび座「ジョディと子鹿のフラッグと」(2007)
- 名古屋市文化振興事業団「オズの魔法使い」(2008)
- 箏曲正絃社 春の公演 (2008)
- 伝統芸能シリーズ 第15回「ザ万歳」(2008)
- 西川流日中文化芸術交流 北京公演 (2008)
- 豊橋文化振興財団 立体朗読劇「鉄道員」(2008)
- 名古屋開府四百年によせて「語り継ぐ賑わい」 (2009)
- 野村祐子 箏・三絃リサイタル~和洋の融合~ (2009)
- 1990年以後 西川流、花柳流、藤間流、工藤流、稲垣流、立花流、内田流他 東海地域日本舞踊各流派舞踊会、箏曲、長唄等発表会(舞台監督を含む)、モダンダンス、バレエ公演多数
2009年受賞者
栄誉賞
若林 駿介(わかばやし しゅんすけ)
日本の放送および録音界の先駆者としてステレオ録音の基礎を築き、ひいては音響界全体の範となって後進の育成と音響家の地位確立に尽力された業績を讚え、ここに栄誉賞を贈ります。
●功績
コロンビア単科大学大学院卒。アメリカでブルーノ・ワルター晩年の録音に関与しました。帰国後、数々の日本のクラシック録音に従事し、ステレオ録音の基礎を築きました。
また、放送では文化放送時代における旧日本フィルに代表される数多くの放送番組収録をはじめとして、普門館でのカラヤン/ベルリン・フィルの収録など、ステージ音響の分野では70年の大阪万博の鉄鋼館や武道館における世界歌謡祭の音響監督を担当するなど、数々の音楽音響の新分野を開拓。
朝日新聞をはじめ音楽雑誌等で録音評を担当するなど、オーディオ評論家としても活躍。
また東京藝術大学や九州芸術工科大学において、または日本音響家協会初代会長として後進の育成にあたり、後に日本音響家協会名誉会長。
2008年7月1日逝去、享年78歳。
2008年受賞者
青地 瑛久(あおち てるひさ)
音響の哲学的見地に基づき、その天性ともいえるセンスの良い効果音創造は、周囲から絶大な評価を受けています。また、簡単な音源による音づくりは的を射ていて、誰にでも分かりやすく、後進の手本になっています。
長年、大阪芸術大学で音響効果マンの芽を育み、多くの若者を輩出してこられました。その熱意と成果は日本音響家協会賞に値します。
●経歴
- 1942年生まれ
- 1965年4月 讀賣テレビ放送株式会社音楽課の音響効果担当
- 1979年6月 有限会社サウンドエフエクトを設立
- 2002年4月 大阪芸術大学芸術学部舞台芸術学科助教授
- 2006年7月 特定非営利活動法人関西舞台文化懇話会副理事長
- 現在、大阪芸術大学舞台芸術学科教授、株式会社サウンドエフェクト取締役会長
- 2018年10月 逝去
●受賞
- 1998年12月 日本放送作家協会選定、第8回関西ディレクター大賞特別賞
- 2005年5月 憲法記念日大阪府知事表彰(受賞区分・文化芸術)
●主な参加作品
放送
ドキュメンタリー部門 日本人のルーツ「北方騎馬民族がやってきた」
日本人のルーツ「三味線の系譜」
小磯 良平の世界
丸山ワクチン
ドラマ部門 祇園物語
ややととさん
木曜ゴールデンドラマ
讀賣テレビ「朝の連続テレビ小説」シリーズ
オカン
バラエティー部門 11PM
EX-TV
おもしろサンデー
たかじんのばー
PAPEPO
舞台
昭和40年から主に関西の新劇に係わる
大阪新劇団協議会合同公演
京都新劇団協議会合同公演
大阪自立劇団連絡協議会合同公演
他に、プロアマ劇団の公演に音響デザイナーで参加し、現在までに約550本の作品を手がける
また、ライフワークとして上岡龍太郎独演会、ひとり会の音響デザインを担当
2007年受賞者
増 旭(ます あきら)
演出空間において音響機器の真の能力を発揮させるサウンドシステムチューナは、現在、欠かすことのできない存在となっています。
そのサウンドシステムチューナの重要性を広め、後進の育成に励み、この道を究めた業績、そして利己的な色付けをせずにオペレータの感性の領域に踏み込みむことをしないという、芸術表現への尊重と優しさがある増旭チューニング哲学は、日本音響家協会賞に価いするものであります。
●経歴
- 1975年 サウンドクラフト社入社、PA業務に従事
- 1986年 SIMシステムによるチューニング開始
- 1989年 アルテ社発足に参加
- 1993年 ATL社に移籍。システムデザイン、システムアライン、及び販売促進業務に従事、SIMシステムによるチューニングインストラクター資格取得
- 2005年 音響家技能認定講座・サウンドシステムチューナコースの開設に協力
●主なデザインおよびチューニングイベント
- 1983年 杉良太郎ツアー
- 1983年 五木ひろしツアー
- 1985~1992年 松任谷由美コンサート アリーナーツアー
- 1992年 ドリームズ・カム・トゥルー(MirllionKisses )ツアー
- 1993年 ドリームズ・カム・トゥルー(the swiging star )ツアー
- 1994年 シレラ日本公演
- 1994年 平安建都1200年、ニッポン音楽の水脈
- 1994年 年輪ピック香川
- 1995年 戦後50年を記念する集い
- 1995~1996年 由紀さおり・安田祥子カーネギーホールコンサート
- 1998年 年輪ピック愛知
- その他、レミゼラブル、エリザベート、イーストウッドの魔女たち、など多数
●主なチューニング施設
新国立劇場(大、中、小)、中野サンプラザホール、サンパール荒川、京都国際会議場メインホール、大阪厚生年金会館、大阪松竹座、新神戸オリエンタル劇場、中日劇場、博多座、富山県教育文化会館、
広島市民球場、名古屋瑞穂競技場、大阪市立科学館、志摩スペイン村、門司グランシップ、表参道ヒルズ、売布シネマ、立川シネマツー、立川シネマシティー、渋谷シネアミューズ、アテネフランセ他多数
2006年受賞者
富山 尚(とみやま ひさし)
主として琉球王家の伝統芸能「組踊」をはじめとする沖縄の伝統芸能の場で活躍され、伝統的な芸能まで爆音をもってPAする風潮の今だに色濃い沖縄の地において、ひたすら伝統の音を護るSRをめざし、その自然で心地よい音に仕上げる音響デザインは、人間国宝・照喜名朝一氏を初めとする多くの演奏家から、琉球音楽の音響の第一人者として高く評価されています。この功績に対して日本音響家協会賞を贈ります。
●経歴
- 1961年沖縄県に生まれる
- 1982年3月 東京音響専門学院卒業
- 1982年2月 有限会社サウンド沖縄入社
- 1986年6月 日本ホールサービス株式会社・音響事業部プロサウンドスタック入社
- 1994年1月 音響デザイナーとして独立
- 1998年度第33回沖縄タイムス社芸術選賞奨励賞受賞
●主な作品(2000年以降)
2000年
琉球歌劇「泊阿嘉」野外公演 NHK沖縄放送局
G8サミット記念「沖縄芸能団北米公演」国際交流基金 佐藤太華子
「クリムト 愛と死の交錯」柳下規夫&沖縄モダンダンスカンパニー 柳下規夫
オペラ「魔笛」沖縄県立芸術大学 小池哲央
2001年
組踊特別鑑賞会他府県公演 沖縄県、組踊保存会
琉舞創作ロシア公演 ACO沖縄 神崎由布子
琉球KAGEKI 「にたかまんた・泊阿嘉」 ACO沖縄 加藤直
喜劇「めんそうーれ沖縄」県外公演 ACO沖縄 加藤直
「バレエドファンタジア」柳下規夫&沖縄モダンダンスカンパニー 柳下規夫
2002年
組踊特別鑑賞会他府県公演 沖縄県、組踊保存会
「ムリカ星ゆんた」琉舞創作ロシア公演 ACO沖縄 三隅治雄
「桜・おんな三態」柳下規夫&沖縄モダンダンスカンパニー 柳下規夫
喜劇「めんそうーれ沖縄」県外公演 ACO沖縄 加藤直
創作組踊「王女と犬太郎」玉城流扇寿会 幸喜良秀
2003年
組踊特別鑑賞会他府県公演 沖縄県、組踊保存会
南海のムリカ星 ロシア公演 ACO沖縄 三隅治雄
琉球KAGEKI 「きざみ節・泊阿嘉」ACO沖縄 加藤直
「愛傷歌」柳下規夫&沖縄モダンダンスカンパニー 柳下規夫
喜劇「めんそうーれ沖縄」県外公演 ACO沖縄 加藤直
創作組踊「王女と犬太郎」玉城流扇寿会 幸喜良秀
琉球舞踊ブラジル公演 玉城流扇寿会
2004年
組踊特別鑑賞会他府県公演 沖縄県、組踊保存会
創作バレエ「Space & Timt」「The Sea」南条幸子バレエ研究所 南条幸子
「逝春の行方」柳下規夫&沖縄モダンダンスカンパニー 柳下規夫
新組踊「月下之道化」ACO沖縄 加藤直
喜劇「めんそうーれ沖縄」県外公演 ACO沖縄 加藤直
創作組踊「落城物語」玉城流玉扇会 幸喜良秀
2005年
組踊特別鑑賞会他府県公演 沖縄県、組踊保存会
南海のムリカ星 韓国公演 ACO沖縄 三隅治雄
春夏秋冬・・「雛の庭」沖縄モダンダンスカンパニー 柳下規夫
琉球舞踊及び創作組踊「王女と犬太郎」名古屋公演 玉城流扇寿会 幸喜良秀
創作組踊「落城物語」玉城流玉扇会 幸喜良秀
2005年受賞者
仲村 昭(なかむら あきら)
木材、コーン紙、ドライバにこだわって、スタジオ用小型モニタスピーカの名器・NS10M型を開発し、全世界で業界標準として通用させたことは、スピーカの設計製造分野においても「モノづくりニッポン」を世界に認めさせました。この功績を称え、日本音響家協会賞を贈ります。
●経歴
- 1947年生まれ 静岡県磐田市出身
- 1973年 ソフトドームを採用した3WAYスピーカシステム NS670、NS690を開発
- 1974年 スピーカ用振動板として理想的な素材であるベリリウムを採用した3ウェイスピーカシステムNS1000Mを開発
- 1977年 ホワイトコーンとブラックキャビネットによる鮮烈なデザインの2ウェイスピーカシステムNS10Mを開発
- 1982年 世界初、ウーファにカーボンコーン、中高音にベリリウムドームを採用したラウンドバッフルキャビネット3ウェイスピーカシステムNS2000を開発
- 1987年 スタジオモニタースピーカシステム NS10Mstudioを開発
- 1997年 PA用スピーカシステム CLUBIV シリーズを開発、USA市場の量販価格帯のトップシェアを獲得し、現在もモデルチェンジしたCLUBVシリーズでトップシェアを維持
- 1998~1999年 モニタースピーカシステム MSP5、MSP10を開発
- 2005年 本格的設備用スピーカ「InstallationSeries」をアメリカNSCAショーにて発表
- 現在、ヤマハ株式会社PA・DMI事業部商品開発部に所属
2004年受賞者
豊島 政実(とよしま まさみ)
アビーロード・スタジオに代表されるように、その作品は建築音響・電気音響の設計のみにとどまらず、スタジオ全体の空間の快適性や視覚的環境に優れ、プロデューサやアーチスト、ミクシングエンジニアなど多くの音楽関係者に認められています。国内、海外の著名なレーコーディング・スタジオ、ホールなどの音響設計を多数手がけ、国際的に、音響システムデザイナーとして音楽産業に貢献しました。
●経歴
- 1939 年生まれ
- 1964 年:早稲田大学大学院・音響工学専攻・修士課程修了、日本ビクター株式会社に入社
- 1977 年:日本ビクター株式会社音響技術研究所・音響設計事務所を設立し所長に就任、国内外の著名スタジオ&ホールを多数設計
- 現在、四日市大学・環境情報学部、メディアコミュニケーション学科教授
●主な作品
海外
アビーロードスタジオ、タウンハウススタジオ、ルーカスフィルム・スコアリングスタジオ、Ramoji Film city サウンドコンプレックス(インド)、オアシススタジオ(北京)、ソウルスタジオ(韓国)、ナンジャンスタジオ(韓国)、レッドヒルカルチャーセンター(モスクワ)
国内
ビクタースタジオ、オンエア麻布スタジオ、ウエストサイドスタジオ
プライベート
スティング、フィル・コリンズ、エンヤ、ジョージ・マイケル
2003年受賞者
及川 公生(おいかわ きみお)
レコーディングの世界でジャズのサウンドに対する評価は厳しいものがあります。長年培われてきたサウンドと現在の最新技術をマッチングさせて創造することと、耳の肥えたファンの多い世界であるからです。及川氏は、そのジャズのサウンドの収録・SRに挑戦し続け、マルチトラック録音で後からミックスするのではなく、いきなり完成録音をするダイレクトレコーディング、いわゆる「一発録り」を信念として、演奏者の緊張と集中力によって生まれる生々しいサウンドを素直に作り続けています。その音響哲学は、的を射ていて誰にでも理解でき、後進の指導に大いに役立っています。これまでの著名なミュージシャンのレコーディングの実績と、感性豊かなジャズサウンドの組み立て技巧の確立と、後進への伝承の功績を称えます。
●経歴
- 1936年生まれ。福岡県出身。
- 1959年 FM東海(現 東京FM)技術部勤務。スタジオ・送信業務を経て1970年退職。若林駿介氏に師事
- 1970年3月~9月 万国博・スペースシアターの音響技術を担当し、武満徹、ヤニス・クセナキスの作品に関わる。万国博終了後フリーランスとなり、武道館における世界歌謡祭、ねむ・ジャズ・イン等のSRを担当。カーペンターズ、ミッシェル・ルグラン等のアーティストと関わる。FM東京のクラシック、ジャズ、雅楽等純邦楽古典の録音・プロデュースを担当
- 1976年以降、ジャズ録音に専念し、現在に至る。
- 東京芸術大学講師、洗足学園音楽大学講師、音響技術専門学校講師
- スイング・ジャーナル誌、オーディオ評論を執筆
●主な作品
- キース・ジャレット/「ダーク・インターバル」/「エアリアル組曲」
- マル・ウォルドロン/「マチュリティー」/「クラシックス」
- デューク・ジョーダン/「ライブ・ライブ・ライブ」
- バリー・ハリス/「ライブ・アット・DAG」
- レイ・ブラウン/「ブラック・オルフェ」
- ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ/「ライブ・イン・ジャパン」
- 藤井郷子オーケストラ/「月は東に日は西に」、日本とニューヨークのオーケストラが競演し、レコーディングエンジニアのデビット・ベイカーと及川公生の録音競技作品、ニューヨーク・ジャズ批評家推薦ベストテン第4位
- 澁谷猛/「エッセンシャル・エリントン」1999年度日本ジャズ賞
●出版
「及川公生のサウンド・レシピCD-R+BOOK」ユニコム刊 他
2002年受賞者
栗山 譲二(くりやま じょうじ)
デジタル音響機器創生期に、画期的なデジタルチャンネルデバイダー・SAORIの開発をはじめ、世界に先駆けて大型デジタル調整卓を開発するなど、困難な開発期を先頭に立って切り開き、音響卓のデジタル化の幕開けを導きました。調整卓の創造性と高機能、高音質化の功績は多大です。
●経歴
- 1955年生まれ
- 1980年 九州芸術工科大学・大学院・修士課程修了(情報伝達専攻)
- 1980年 TOA株式会社入社
- 2001年 ボーズ株式会社入社
●実績概要
1、PA用デジタルシグナルプロセッサー「SAORI・DPシリーズ」、大型デジタルミキサー「ixシリーズ」
等を企画し製品開発。
2、音響信号のデジタル信号処理に関して、「空間選択性マイクロフォン」「アクティブノイズコント
ロール」「アダプティブスピーカ」等の研究を行い、特許を取得。
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山本 能久(やまもと よしひさ)
演劇を観るのではなく演劇を感じさせてくれる音響家デザインで、数多くの舞台を創造し、ダイナミズムにとんだデザインは無音から一気に音の洪水の中に観客を連れて行き、音響デザインの有用性を再認識させるとともに、音により観客に深い感動を与えました。
また早くから、コンピュータを活用した音響効果システムの構築、サンプラーを応用した再生などテクニックの面でも先駆者として活躍され、観客心理を心得て緻密に計算された音響デザインは、演出空間創造の可能性を広げました。
●経歴
- 1949年5月2日生まれ
- 1971年3月 青山学院大学 理工学部 電気電子工学科卒業
- 1971年~1973年 プロのバンド活動
- 1973年4月 綜合舞台株式会社入社
- 1977年3月 同退社
- 1977年4月 株式会社サウンドクラフト入社
- 1977年9月 同退社
- 1977年10月からフリーで活躍。つかこうへい劇団、木野花/フラワーズカンパニー、劇団☆新感線、芸能山城組などの音響デザインを多く手掛ける
- 1991年3月 株式会社エスイーシステムを設立
●代表作品
つかこうへい劇団作品
- 1979年 いつも心に太陽を:西武劇場(現パルコ劇場)
- 1979年 熱海殺人事件:紀ノ国屋ホール
- 1979年 広島に原爆を落とす日:西武劇場(現パルコ劇場)
- 1979年 初級革命講座飛龍伝:東芸劇場
- 1980年 蒲田行進曲:紀ノ国屋ホール
- 1985年 ソウル版熱海殺人事件:大韓民国・国立文芸劇場
- 1990年 飛龍伝'90:セゾン劇場(現 ル・テアトル銀座)
- 1994年 飛龍伝'94:セゾン劇場(現 ル・テアトル銀座)
- 2000年 蒲田行進曲:青山劇場
木野花/フラワーズカンパニー公演
- 1995年 やっぱりあなたが一番いいわ:木野 花 演出:紀伊国屋ホール
- 1997年 水物語・永作博美一人芝居:木野 花 演出:全労済 スペース・ゼロ
- 2001年 夢かと思った:木野 花 演出:アイピット目白
劇団☆新感線公演
- 1999年 西遊記:いのうえひでのり演出:青山劇場
- 2000年 阿修羅城の瞳:いのうえひでのり演出:大阪松竹座、新橋演舞場
- 2001年 大江戸ロケット:いのうえひでのり演出:青山劇場
- 2002年 天保12年のシェークスピア:いのうえひでのり演出:赤坂アクトシアター
アール・ユー・ピーのプロデュース公演
- 1995年 フォーティンブラス:岡村俊一/小池竹見演出:紀伊国屋ホール
- 1997年 広島に原爆を落とす日:いのうえひでのり演出:紀伊国屋サザンシアター
- 1998年 新幕末純情伝:岡村俊一演出:シアターコクーン
- 1999年 月晶島綺譚:小池竹見演出:セゾン劇場(現 ル・テアトル銀座)。犬を使う女:河毛俊作演出:シアターコクーン
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2000年 蒲田行進曲:つかこうへい演出:青山劇場。七色いんこ:落合正幸演出:赤坂ACTシアター。二万七千光年の旅:岡村俊一演出:パルコ劇場
- 2001年 東亜悲恋:岡村俊一演出:青山劇場
2001年受賞者
小野 隆浩(おの たかひろ)
オペラ、クラシック音楽を熟知したうえで、建築音響的手法と電気音響を効果的に使用した音響デザインは劇場空間に自然な音響を作りだし、その芸術的表現力にはクラシック音楽関係者から高く評価されています。日本におけるオペラの音響デザインを確立し、ヨーロッパのオペラ音響に劣らない緻密な技巧は、21世紀の日本の演劇音響分野をより高度なものへ導くものと期待できます。
●経歴
- 財団法人びわ湖ホール舞台技術課
- 1960年、秋田県生まれ
- 株式会社オープンロード、株式会社ストーリーレーンを経て、現在に至る。
- 主としてオペラやクラシックコンサートの音響デザイン、劇場音響コンサルタント等を手がける。
- 第3回出光音楽賞受賞。
●音響デザインの代表作品
- 1985年 ウイーン国立歌劇場日本公演
- 1986年 英国ロイヤルオペラ日本公演
- 1987年 ベルリン・ドイツオペラ日本公演
- 1988年 メトロポリタン歌劇場日本公演、ミラノ・スカラ座日本公演、バイエルン国立歌劇場日本公演
- 1989年 東急文化村オープニング公演/魔笛
- 1993年 日本オペラ協会公演/ペトロ岐部/春琴抄、藤原歌劇団公演/ルチア、二期会公演 /ラインゴールド、NHKホール記念事業/サウンドオブオーケストラ
- 1995年 二期会公演/プッチーニ3部作、日本オペラ協会公演/山椒太夫、音楽劇/異邦人
- 1998年 びわ湖ホールオープニングガラ、滋賀県民オペラ/サンドリヨン
- 1999年 びわ湖ホールプロデュースオペラ/ドン・カルロ/群盗、青少年オペラシリーズ/小さな煙突掃除屋さん、カレッジオペラハウス(共同プラン)/金閣寺
- 2001年 青少年オペラシリーズ/ヘンデルとグレーテル
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特別賞
辻 亨二(つじ りょうじ)
辻氏は、演劇の中の音を台本の生きた感性と捕らえています。役者は当然、当事者ですが、舞台に音の無い世界は虚と言わせるまで、演劇と音とを対等にした功績は大であります。また、演劇の音響効果を職業として確立させ、後進の指導・育成にも貢献して多くの音響家を輩出しています。
●経歴
- 1927年 東京に生まれる。
- 1945年 東京物理学校(現東京理科大学)応用化学科中退
- 1955年 劇団新派文芸部に入る。
- 1965年 株式会社ショウビズスタジオ設立
- 1975年~1998年 社団法人日本演劇協会の常務理事、専務理事をつとめる。
●受賞
- 第5回松尾芸能賞技術優秀賞受章
- 第27回長谷川伸賞受章
- 2006年 黄綬褒章受章
●音響プランの代表作品
- 1960年 明治座「京舞」「花いのち」
- 1963年 歌舞伎座「修学院物語」
- 1966年 演舞場「明治の雪」、東横ホール「明治維新三部作」
- 1967年 新橋演舞場「ああ、同期の桜」
- 1968年 歌舞伎座「燈台鬼」
- 1969年 歌舞伎座「建礼門院」
- 1974年 歌舞伎座「春日局」
- 1975年 新橋演舞場「女優」
- 1982年 サンシャイン劇場「アマデウス」、演舞場「築山殿始末」
- 1987年 歌舞伎座「西郷隆盛」
- 1989年 歌舞伎座「江戸っ子繁盛期」、御園座「快挙!赤穂浪士」
- 1994年 大阪新歌舞伎座「鬼と人と」
- 1997年 国立劇場「楊貴妃」
2000年受賞者
大口 孝(おおぐち たかし)
演出上、必要不可欠となっているワイヤレスマイクロホンも、つい最近まで特殊、高価そして入手困難という欠点がある高電圧水銀電池を使用してきました。このワイヤレスマイクが現在のように高性能となり発展、普及した陰には、今は忘れ去られようとしている多くの研究開発者がいます。注目すべき研究成果は、受信アンテナを複数設置し受信性能を飛躍的に向上させるダイバーシティ方式、ノイズに強くダイナミックレンジ拡大のためのコンパンダ電送方式等々の開発、そして汎用電池である単3電池1本で長時間の安定動作する方式が開発され、製品化されたことでした。現在、プロ音響現場で使用されているワイヤレスマイクロホンは、混信、雑音に悩まされることも少なく、音質も有線マイクロホンと遜色ないぐらい高性能で、さまざまな場面で活用されています。これらの製品開発は、創造活動に多大な恩恵もたらしました。特に注目すべきは、水銀電池から単3電池に置き換わったことで、全国どこでも容易に使用でき、運用数が桁違いに増大した現在、水銀汚染から地球環境を保護することでも貢献する結果をもたらしたことです。そこで日本音響家協会は、ワイヤレスマイクロホンの電池を単3電池1本に置き換えたことで、高価な水銀電池の足かせから解き放った功績を称えて、その研究開発者である大口孝氏に日本音響家協会賞贈賞を贈ります。なお、大口孝氏は、現在のワイヤレスマイクロホンに関する電波法改正にあたり、標準規格作成のリーダーとしての功績も大であります。
●経歴
- 1942年5月5日 生まれ
- 1958年3月 早稲田大学専門学校電気科卒業
- 1961年3月 松下電器産業株式会社に入社
- 1961年4月 松下通信工業株式会社に配属
- 1963年~1967年 ワイヤレスマイクの設計に携わる
- 1968年~1973年 100dBダイナミックレンジワイヤレスマイクシステムを実現、ダイバーシティー受信方式受信機の開発
- 1974年~1980年 1.5V駆動ワイヤレスマイク開発、200MHzのワイヤレスマイク市場拡大、UHF帯ダイバーシティ・ワイヤレスマイクで高い占有率を確保
- 1981年~1989年 新ワイヤレスマイクの電波法標準規格をつくるために貢献、300MHzと800MHzの周波数帯(現A型・B型・C型)をワイヤレスマイク用に獲得
- 1991年3月~1994年7月 米国に駐在、テレビ会議システムの販売支援
- 1999年 松下通信工業株式会社を退社し「Offce情報」を設立、特許の発明スペシャリストとして発明発掘をしている。