創立40周年の所感 (2017年4月)
あらゆる音響の仕事に携わる人たちの団体として
一般社団法人日本音響家協会会長 八板賢二郎
本協会を設立した1977年は、プロ野球の王貞治がホームラン756本の世界記録を達成して国民栄誉賞の第1号を受賞しためでたい年です。
設立当時、すでに新劇の音響効果業界の団体があり、PA業界の団体設立の計画もありましたが、どちらにも属さない公共ホールの技術者たちが中心となって、放送や音響機器メーカーの人たちと立ち上げたのが日本音響家協会です。
『駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人』の精神で設立したのです。この故事は“さまざまな仕事の人が助け合って社会が成立している状態” のことで、音響の仕事を支える様々な分野の人たちが一丸となって、プロ音響界を隆盛させようとしたのです。
立ち上げの契機になったのは、1975年に文化庁の主催した「地方文化施設技術研修会」で舞台音響に関する研修を私たちがサポートしたことです。この場で、各地の公共ホールの音響技術者と知り合い意気投合して、それまであった「舞台音響技術向上会」を発展させて、日本音響家協会を設立したのであります。
以来、支部ファーストをモットーにして、東京支部と中部支部から活動を開始しました。
これは“言葉が違えば環境も考えも異なる”ということを尊重しての考えからです。現在も北海道・東日本・北陸・中部・西日本の支部が、それぞれの知恵で活動して、それぞれが競い、良きことは手本にしあいながら成果をあげています。本部はその交通整理の役をしております。
業界の動きには是々非々で発言して、社会に貢献することを第一目標に『誰のため、何のため』を明確にして、ぶれることなく活動を続けて来ました。
また、会員の自立心向上と広範な運営能力を蓄積させるため、会員から集めた会費だけを元手に、補助金をどこからも求めず、ITをフル活用しながら、多くの関連企業のご協力を得て活動をしてまいりました。そのことで、企画、制作、会計、営業をすべて自分たちの手で行い、その力を蓄えることで本業に役立たせようとしたのであります。
本協会に加入するメリットは、そこにあるのです。
日本音響家協会は、初代会長・若林駿介先生の助言「会員全員が運営委員のつもりで」、そして協会のモットー「良い環境でいい音を」を心掛け、素晴らしき伝統技術は継承しながらも、時代に即した運営と活動を推進して、夢を描き叶えられる人材育成と芸術文化向上による社会貢献に邁進します。