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手記#4


わたしの音響デザイン論

 

須川 由樹

(有限会社ティーアンドクルー)

 

 

 

自分の立ち位置

 

演劇の音響プランをすることが多いのですが、いままでいろんな演劇団体の公演に関わらせていただきました。発表会的なアマチュア劇団の公演から、歴史ある新劇の劇団の公演、また学校公演や親子劇場を活動の中心にしている劇団の公演など、その公演の規模や劇場、観客層も様々です。

 

しかし、いつの場合もまず考えるのは、その劇団や団体の世界観です。その劇団や団体が観客に対してどう関わろうとしているか、どんな演劇世界を提供しようとしているかを大事にします。自分の立ち位置を劇団と同じ場所に持っていくことで観客を意識します。その上で台本を読んで演出家との打ち合わせをし、音響プランを作ります。

 

小劇場などでよくあるように、劇団主宰=演出家だったりすると話が早いのですが、演出家が劇団外から招かれているような場合はプロデューサや制作とのコミュニケーションが大切です。もし、その世界観を見誤るとプランが効果的でなかったり、音だけが目立ってしまったりすることになります。

 

時々、観劇後のアンケートなどで「音が良かった」とか「照明がきれいだった」とか書いていただくことがありますが、こんなときは少々不安になります。音や照明が目立ってしまっていたのではないか、芝居はどうだったのかと。

 

 

 

音響プラン

 

音響プランをするということは、その演劇空間の中で音響によって観客や俳優にどのように影響を与えていくかを考え、それを実現するためには具体的にどうするかを決めていくことです。そしてプランされた音響よって観客や俳優に美術や照明の効果と併せて、その世界をイメージしていただき、俳優の演技を助けるのです。そのためにはどんな素材をどんな音質、音量でどの方向から聞こえてくるようにするのか、どのように音を拾ってどのようにSRするのかを考えます。

 

例えば、あるお芝居で森の中の情景を作る場合、このお芝居の世界の森ではどんな音を観客に聞かせるべきかを考えるのではなく、どんな音をどう流せばその世界の森として観客に伝わるかを考えます。その音は、鳥の声や木々を揺する風の音だったり、また、そうした自然の音ではなく全く別の選択肢があるかも知れません。その世界を伝えるためには、現実ではそこにありえない音を使うこともあります。その目的は、音を聞かせることではなく、世界を作る一つの要素になることなのです。

 

 

 

音響オペレータ

 

演劇の音響プランの場合も、音響オペレータの役割は重要です。

 

プランナーが素材を作ってスピーカアサインなどを細かく指定していても、オペレータの操作次第では全然違うものになってしまいます。場合によっては、フェーダが1デシベル違っても、タイミングが0.3秒ずれてもプランしたものと別物になってしまうことがあるので、正確な操作をしなければいけません。また音量の基準となるものが俳優のセリフだったり、客席のノイズレベルだったりするので、リハーサルの設定値に修正を加えなければいけないことも多くあります。本番では、このような状況の変化による対応や正確な操作がオペレータには要求されます。

 

小劇場などでは、オペレータを兼任することが時々あるのですが、その難しさを感じることがあります。操作の手順をうまくこなすことで良い操作をしたと思い込んでしまうことがあります。忙しい操作などでは、ある程度の達成感があったりするので、自分の作業の中だけの判断でOKを出してしまうのです。気持ち良く操作することは大切ですが、観客の気持ちいいポイントと、操作の手順に追われながら舞台を見ている自分の気持ちのいいポイントにズレがあることもあります。

 

プランナーがオペレータを兼任していると観客の視点で舞台を見てダメだしをしてくれる人がいません。もちろんあまりにひどいことになると演出からダメが出ますが、音響家としては、そこに行くまでに気付きたいと思うのです。

 

 

 

音響オペレータのいない公演

 

一般の公演や規模の大きな移動公演の場合は、こちら側にオペレータの発注があったり、座付きの音響オペレータがいる場合が多いので問題ないのですが、小編成の規模で公演して回る場合は予算的な問題で専門のオペレータをつけることができず、舞台監督が音響操作をしたり、出ていない俳優が交代で音響操作をする場合などがあります。

 

また、人形劇などで人形の使い手が人形を使いながらフット・スイッチなどで音出しをする場合があります。 こういう場合は、そのオペレータのスキルに合わせたプランを考えなければいけません。

 

先に述べたような1デシベルとか0.3秒の勝負はできません。またこういうときは、システムの規模にも制限があり、仕込み時間も十分とれないことがほとんどなので、自由にプランを組むわけにはいかないのです。でも悲観的になることはありません。

 

目的は音を聞かせることではなく、世界を作ることなのです。その劇団と同じ立ち位置に立って観客と向き合おうとすることで、最良のプランを見つけることができるのです


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