1977年4月
機関誌「プロフェッショナル サウンド」No.8
日本音響家協会会長挨拶
若林 駿介
最近は、音の分野も電気音響を応用したものが非常に多い。多いというよりも電気音響の力を借りなければ成り立たないというような時代にさえなってきているのである。劇場においても、放送においても、レコード録音や映画の世界でも、あらゆる分野に高度に発達した電気音響機器と複雑なテクニックが使われているのだ。
一方、一般社会の音への認識が進んできている。騒音による音公害から美しい音楽に使われる音に至るまで、耳に訴えるマイメディアの発達と相まって関心がたいへん高まってきている。こうなってくると、われわれプロの立場で音響に携わっている者の責任も大きいし、よい仕事を進め、社会の要望に応えるための積極的な前進が必要である。
また、われわれ音響家の仕事は音をまとめあげてゆく作業であるが、さらに高度なテクニックが応用され個人の能力により、その成果に差が出やすくなってきている。そのため今後ますます、仕事の内容が差別化する傾向がみえてきている。こうなってくると、それぞれ個人の意見の発表や交流が必要となってくるし、研究成果の公表交換などを積極的に行う必要が出てくる。
ここに日本音響家協会の設立をみたわけだが、会員一人ひとりが自分の立場と責任とを考え、一致協力して研究に事業にと努力していかなければならない。
とかく、この種の研究親睦団体は、会員になっても他人まかせのものになりがちである。しかし、全員が役員になったつもりで運営していかなければ意味がないし、その成果もあがらないものである。したがって、入会した以上は積極的に行動するよう、切に望む次第である。
初年度の役員
日本音響家協会の第1回総会は、1977年4月11日午後1時から中野サンプラザで開催され、理事と地区運営委員が選出された。
《理事》
会 長 若林駿介
副会長 田嶋光義、八板賢ニ郎
理 事 勝野勇武、桜田研三、中野之也、野田幸一、吉田卓司
監 事 辻 亨ニ、野池幸男
《運営委員》
●東京地区
稲葉実、浦精一、加藤洋明、神谷登、神谷隆一、栗原信義、杉山正信、高橋仁、田村忠彦,鳥羽健治、七原秀夫、野田幸一、宮田晴夫、森本雅紀、前原芙美雄、松岡清,本輝夫、八板賢ニ郎、吉田卓司、和田徹ニ
●中部地区
阿部正,岩田玖也、宇野浜吉、勝野勇武、上山健太、川島博、木枝義雄、北村靖夫、後藤元紀、田嶋光義、中野之也、野池幸男、服部徹、藤井俊成、堀保雄、前田勝裕、前原恒之、山腰恭三