12月1日、文化庁の報道発表があり、本協会から2名が選ばれました。
音響家のアート部門として推選した高橋裕道氏と、サイエンス部門として推選した増 旭氏です。
12月14日に、東京・如水会館において表彰式が執り行われました。
そこには、当協会会友のギタリスト渡辺香津美氏、金井大道具の金井勇一郎社長、舞台照明家としてパシフィックアートセンターの村山研一前社長が受賞者として出席されていました。
皆様おめでとうございます。
▲表彰式10分前の報道席。今回、協会からは報道として出席しました。
▲2列目右端が犬塚氏
▲前列の右から三人目が増旭氏、2列目の右端が渡辺氏
令和4年度文化庁長官表彰者
高橋 裕道(いぬづか ひろみち)
★現職:音響家
ステージヴァンガード代表
★功績概要:永年にわたり、音響家として活躍するとともに、日本音響家協会において講師を務めるなど、後進の育成に努め、我が国の芸術文化の振興に多大な貢献をしている。
★一般社団法人日本音響家協会推薦理由
犬塚裕道氏は、演劇や舞踊に精通した多彩な仕事ぶりは邦楽界で定評があり、名古屋地区では絶大の信頼を得ている。そのことは単に技術的なことだけではなく、人間的な素晴らしさと仕事に対する真摯な対応によるものである。また、邦楽に関するセミナー等においては、舞台音響関係者のみではなく、一般の方々にもわかりやすい講義内容とし、蓄えた豊富な知識とノウハウを惜しみなく次世代に伝授し、後進の育成と技能伝承にも尽力している。
★レコーディング・編集
平成26年野村峰山CD「野村峰山尺八独奏会」
第69回文化庁芸術祭レコード部門優秀賞
★主な音響プラン・操作
平成24年 第65回名古屋をどり 現在まで毎年継続実施
同 27年 山村楽乃 舞の会
同 28年 名古屋市芸術創造センター連携企画公演「椿説曾根崎心中夢幻譚
同 29年ミュージカル「マイ・ブルー・ヘブン」
同 30年 左門左兵衛リサイタル(国立小劇場)
同 30年 名古屋市文化振興事業団「納屋橋物語」
同 30年 西川流西川会
同 30年 人形劇団むすび座「ピノキオ」韓国公演
同 31年 愛知ロシア音楽研究会公演
令和2年 名古屋長唄大会
同 3年 美神降臨「源氏絵巻を舞う」
同 3年 依田由利子フラメンコスタジオ公演
同 3年 名古屋市文化振興事業団「音楽はソリに乗って」
同 4年 三重県日本舞踊協会公演
同 4年 名古屋洋舞家協議会公演
令和4年度文化庁長官表彰者
増 旭(ます あきら)
★現職:サウンドシステムデザイナー
音響空間プロデューサー
★功績概要:永年にわたり、サウンドシステムデザイナーとして、ポップスコンサートツアー等に携わるととに、後進の育成にも努め、我が国の芸術文化の振興に多大な貢献をしている。
★一般社団法人日本音響家協会推薦理由
演出空間において音響機器の真の能力を発揮させるサウンドシステムチューナという職業は現在、欠かすことのできない存在となっています。
劇場等または仮設の音響装置、特にスピーカシステムは観客席等の建築的音響特性の影響を受けて、本来の性能を発揮できないことがあります。そのために本来の性能に修正して、表現しやすい音響装置をオペレータに提供し、音響機器を整備するのがシステムチューニングエンジニアです。
増旭は、平成15年に日本音響家協会のもと、音響家技能認定講座としてサウンドシステムチューナコースを立ち上げ、自ら教科書を執筆するなどして、全国の舞台音響家に正しいチューニング手法を啓蒙しサウンドシステムチューナ職を確立しました。
また教科書以外に、業界用語を網羅した「プロ音響データブック(リットー・ミュージック刊)」の共著、「劇場音響技術者教本(兼六館出版刊)」の編集にも携わり、音響家育成に貢献してきました。
増の「利己的な色付けを一切せずに、オペレータの芸術的感性の領域に踏み込まない」という芸術表現に対する尊重と優しさは、長年にわたりポップスコンサートツアー等に携わり培ってきたことによるアートとサイエンスの立場を見極めた哲学であります。
★主な担当作品等
昭和58年 杉良太郎ツアーの音響操作
同 58年 五木ひろしツアーの音響操作
同 58年~平成4年 松任谷由美コンサートツアーの音響操作
平成 4年〜同5年 ドリームズ・カム・トゥルーのツアーにおける音響操作
同 7年~同8年 由紀さおり・安田祥子カーネギーホールコンサートの音響操作
★ミュージカル日本公演の音響装置チューニング
レ・ミゼラブル、エリザベート、イーストウッドの魔女たち等
★劇場設備の新設音響装置チューニング
新国立劇場(大、中、小)、中野サンプラザホール、京都国際会議場メインホール、大阪松竹座、
博多座、富山県教育文化会館、広島市民球場等
渡辺香津美氏はギタリストとして、洗足学園音楽大学ジャズコース客員教授の立場で「永年にわたり、ジャズ・フュージョン界を代表するギタリストとして活躍するとともに、後進の育成にも努め、我が国の芸術文化の振興に多大な貢献をしている」ことが受賞理由でした。
▲戸倉長官と渡辺氏