藝どころ名古屋で学ぶ 第16回邦楽セミナー
「民謡と民謡に使われる色々な楽器」
日時:2019年2月26日(火)12時30分から17時30分
会場:名古屋市芸術創造センターホール
講師:内藤千賀弘 氏(民謡藤栄会 会主)
矢下 勇珀 氏(尺八)
藤山 音三 氏(鳴物)
内藤千賀蝶 氏(三味線)
内藤千賀星 氏(三味線)
犬飼 早苗 氏(唄・囃子)
犬塚 裕道 氏(邦楽セミナー常任講師)
主催:公益財団法人 名古屋市文化振興事業団【芸術創造センター】
一般社団法人 日本音響家協会中部支部
協賛:株式会社エーアンドブイ、ジャトー株式会社、有限会社デジコム、
ヤマハサウンドシステム株式会社
2019年2月26日、名古屋市芸術創造センターホールにて「藝どころ名古屋で学ぶ第16回邦楽セミナー」を開催いたしました。
講師には、民謡の新たな可能性を模索し、色々なジャンルとのコラボレーションに挑戦し、そしてミュージシャンとしてだけでなく、企画・構成・演出・プロデュースも手掛け、多方面でご活躍の内藤千賀弘氏(民謡藤栄会 会主)。そして矢下勇珀氏(尺八)、藤山音三氏(鳴物)、内藤千賀蝶氏(三味線)、内藤千賀星氏(三味線)、犬飼早苗氏(唄・囃子)。以上の6名をお迎えしました。
邦楽セミナー常任講師の犬塚氏の進行のもとセミナーは始まり、第1部の基礎講座では内藤千賀弘講師より「三味線・鳴物・尺八・唄」について地域性の特徴などを踏まえ、「正調伊勢音頭・郡上節・シャンシャン馬道中唄など」をご披露いただき、それぞれの楽器について解説していただきました。そして民謡家としての立場から電気音響との関わりなどのお話を伺いました。
第1部終了後の休憩時には、受講者より楽器を手に取り、感触を確かめたいとのご希望があり、藤山講師のご快諾をいただいてから舞台上でササラ・櫓・波かごなどの仕組みや音の鳴り方、響き方などを確認していました。
第2部の専門講座では「民謡に関する音響技術」をテーマとして、第1部で学んだ楽器のマイキングを実験しました。4本のダイナミックマイク(SHURE Beta57A)を基準マイクとして、任意の位置にセットして録音・再生し、聴き比べてマイクアレンジをどの位置、どの角度でセッティングをするとより良い音作りが出来るかなどを講師の皆様、そして受講者の皆様からのご意見も伺い、試聴しました。まず始めに三味線の中棹のマイクアレンジを①胴の裏②胴の横③バチ④棹の真ん中にセットして録音した結果、②胴の横にセットしたマイクが良い音だったとのご感想を内藤講師よりいただき、駒狙い(ぶつける)にセットして録音した結果、SRとしての音量を得る場合には適したマイクアレンジ結果となりました。そして尺八のマイクアレンジでは①下から②指穴③口元④離れて全体にセットして録音した結果、内藤講師、矢下講師そして多くの受講者より③口元狙いのマイクが良い音でしたとご感想をいただきました。最後に横笛のマイクアレンジでは①横から②口元③口元を上から④真上にセットして録音した結果、真上からのマイクの音が一番良い音だったとのご感想で、横笛の音色はより真上に拡がる結果となりました。
「舞台内(舞台上)の音作りと客席の音作り、音響家に求められるもの」について、内藤講師より、まずは舞台内の音(モニタースピーカー)を作ってからフロント(客席)の音作りを進めていただきたいとのお話があり、以前はモニタースピーカーがなかった時代もありましたが、現代の邦楽界に於いてモニタースピーカーの音作りはとても重要となり「音量・バランス・各楽器の位置関係など」を考慮して音作りを進めていただきたいとお話がありました。
参加者の皆様はとても熱心に受講され、民謡の人気の高さを感じるセミナーとなりました。
なお、当日は名古屋市芸術創造センターの照明・音響・舞台スタッフに、舞台の仕込み・バラシなどのご協力をいただき、ありがとうございました。